

医学部学生の臨床実習においては、診療チームの一員として患者さんを診察する『参加型臨床実習=クリニカルクラークシップ』の重要性が近年提唱されており、当教室においても、平成21年4月から本格的にその取り組みを行っています。
産婦人科の臨床実習は 1グループ 7-9名で実習期間は 3週間です。全員にマンツーマンで指導医をつけ、指導医の担当患者さんを中心に診療に従事していただきます。指導医から患者さんを紹介された後は、学生単独で胸腹部診察、医療面接、カルテへの記載を行います。科内の症例カンファレンスで、学生自身が準備したプレゼンテーションを行い、担当症例の診断、治療、問題点などを自ら考えていく力を養えるようサポートしていきます。
学生の控え室となる入院棟4階カンファレンスルームの一角には、分娩シミュレーターや腹腔鏡トレーナー、胎児心拍陣痛計(CTG)判読トレーナーなど、産婦人科シミュレーション機器を常備しており、医師になる前から経験しておきたいスキルをいつでも練習できるようにしてあります。
これまでに研修してきた学生の多くは、担当患者さんに対して本当に一生懸命向き合ってくれています。出産の場面に感動して思わず涙したり、スイカよりも大きな巨大子宮筋腫にびっくりしたり、あるいは婦人科癌患者さんの臨終に立ち会って家族と一緒に泣いたり、それぞれに教科書や講義だけでは得られない、女性の人生の機微に触れることのできる中身の濃い 3週間となっています。最初はなんとなくよそよそしかった患者さんも、実習が終わる頃には別れを惜しんで寂しがられ、中には医師や看護師にも言えないような話までしてくれる方もいらっしゃいます。また学生の中には、産婦人科実習終了後も、時間を見つけては元担当患者さんのベッドサイドに顔を出してくれる方もいるようです。自分が担当した患者さんというのは何年たっても忘れないものです。それが学生時代に経験した患者さんならなおさらでしょう。
女子学生は、女性であることを生かした診療ができる点できっとやりがいがあることでしょう。男子学生は、自分を必要としてくれる女性(患者さん)に対して、男性として最大限に尽くしてみてください。将来何科に行こうとも、この 3週間の産婦人科実習が少しでも医師としての成長の糧になればと思いつつ、実習カリキュラムを組んでゆきます。
教育企画委員 鎌田 泰彦(平成25年 4月記)